工業デザインの模倣を防ぐ国際的な取り組み ~WIPOのGlobal Design Databaseに日本特許庁が参画~
WIPO - World Intellectual Property Organization
知的財産権に関する条約の管理や国際的な知的財産保護を担う国連の専門機関です。
なんとWIPO日本事務所もあるんですよ。
本拠地はスイスのジュネーヴで、日本の職員が常駐していてとても便利です。
前職ではしょっちゅう電話して助けてもらってたなぁ(遠い目)
さて、そのWIPOが今年1月に始めた「Global Design Database」
各国特許庁から意匠権の情報を提供してもらい、データベースにひとまとめにして国際的に情報提供しようというものです。
目的はもちろん国際的な工業デザインの保護です。
※Global Design Database 画面。7/30現在ではWO、CA、NZの情報が提供されている。
この「Global Design Database」に日本特許庁が参画を決定した、
と7/29各紙報じています。
8月にも参画する見通しで、次いでアメリカも参画することが確実のようです。
さて、世界には特に出願件数の多い五大特許庁と呼ばれるものがあります。
日米欧中韓の特許庁がそれです。
WIPOの「Global Design Database」の目的は、国際的な模倣品の氾濫を抑制し知的財産を保護すること。
五大特許庁を擁する国の中に模倣品を氾濫させてしまっている国が含まれているという…
笑えないジョークです。
ぜひ「Global Design Database」に皆で参画して、知的財産の保護に役立つデータベースを構築してほしいものです。
そういえば、ある弁理士の先生が「今はプロパテントじゃなくアンチパテントの時代かもね」と仰っていたのを思い出します。
先行した国はプロパテントのルールをしいたほうが有利ですが、
出遅れた国はアンチパテントでルールを変えていく、
どちらも間違ってはいないのでしょう。
誰もがよかれと思う「Global Design Database」ですが、
そんな取り組みにも各国の思惑が蠢いていると感じるのは、私の心が曇っているからでしょうか。
※参考
プロパテントとは、特許を保護することで創作者の創作意欲を高め、産業の発展をはかる政策です。創作者に独占排他の強力な権利を与えます。
アンチパテントとは、特許保護を軽視し、独占行為を規制することで自由競争を奨励し、産業の発展をはかる政策です。