習近平国家主席の訪米
日本人は理屈屋が多い?
そう漏らしたのは海外出身日本在住の友人だ。
初めて聞いた時、日本人を揶揄する表現かと思ったがそうではない。
現代日本人はFact(事実)を重要視する。
特に社会で活躍する層に、その傾向は顕著だ。
Fact(事実)を認めない限り正しい打開はできない。
勤勉とも言い換えることができるこの要素は、今日の日本が発展した原動力だ。
だが、Fact(事実)を追及したところで世界は平和になったのか。
Fact(事実)がまかり通るなら世界中で争いは起こっていない。
中国は南シナ海への侵攻について、もともと中国の領土なのだから国内法に基づいて粛々と進める、と平気で言ってのけた。
サイバー攻撃をしつつ、私たちも(中国も)サイバー攻撃の被害者です、と言う。
iPhone 6sの海賊品を中国国内では許容しておきながら、名だたる米IT企業と会合を設け、「外資の規制を大幅に減らし、知財の保護を拡大する」と言ってのけた。
当然その会合にはアップルも参加していた。
そもそも、中国共産党が主導する中華人民共和国は戦勝国ですらない。
日本人から見ればLiar(うそつき)だ。何一つFact(事実)がない詭弁だ。
しかし、国際社会が認めればそれが既成事実になる。
日本人にとっては不都合な真実だが、しばしばそれを認めてきたのは欧米などの覇権国であり、世界はそのように動いてきた。
実際、習近平国家主席の訪米中、全米屈指の観光都市サンフランシスコに慰安婦像を設置する決議が採択された。
これから現地でじっくり時間をかけて日本人が貶められていくだろう。
これもFact(事実)と関係がないところで物事が進行しているいい例だ。
世界はFact(事実)で動いていない。
多くの日本人は、頭で分かっていても受け入れ難いのだろうと思う。
それは日本人の美徳とも言えるものだが、世界の潮流からは異端的考えなのだろう。
他人に理屈を並べ立てて言うことを聞いてくれるだろうか?
ほとんど失敗するだろう。
人にはそれぞれの理屈や主張があり、Fact(事実)はむしろ痛いものだからだ。
誰もがその痛みに耐性があるわけではない。
日本人は、そろそろFact(事実)と対をなして世界を支配する概念を理解するときだ。
もちろん、Fact(事実)に目を背けてきた人はFact(事実)を認めるところから始まる。
そうして、あちらとこちらの想いを正しく理解すれば、国家間でも、社会でも、人間関係でもより良い関係が築けるのではないだろうか。